10年間給与が変わらない!?柔道整復師の転職理由トップの実態を解説

私は現在、整骨院業界に特化した転職支援を行っており、これまでたくさんの柔道整復師の転職相談にのってきました。
そんな整骨院業界でよくある転職理由に「10年間給料が上がらない」というものがあります。
「10年かけて仕事にも慣れ、技術も確実に上がったはずなのに、給料に全く反映されない」というケースが、この業界ではよくあります。
そこで今回のブログでは、なぜこんな状況になっているのか?という整骨院業界の実態と、10年後に給料を上げるためにあなたが今日からできることをお伝えしていきます。
1986年生まれ。千葉市出身。3児の父。 2018年(株)じんじあいであ設立。 整骨院業界に採用という角度から貢献するため、教育・運営・店舗展開なども他面的にサポート。 人材供給だけでなくフォローアップ、院運営のコンサルティングも行う
近年「10年間給料が上がらない」が増えている

この「10年間給料が上がらない」という状況は、最近特に増えています。
なぜなら、整骨院業界はどこも人手不足だからです。
人手が足りない中でも働き手を確保したい整骨院は、色々と試行錯誤しながら、あなたのような若手治療家に来てもらうために初任給を上げるようになります。
初任給は最も比較しやすい数字なので、初任給が高いという理由で応募する若手治療家も多いのです。
しかし、実際に入るとどうでしょうか?
初任給の高さは最初は良いかもしれませんが、この初任給の設定は人を集めるためのものです。本来は技術や経験と共に徐々に上がる可能性があった給料が、初任給を高くするために平均化されているという現実があるのです。

これには整骨院のビジネスモデルも関わっています。
整骨院が売上を上げるためには、在籍している治療家の人数が大きく影響します。もっと簡単にいうと、整骨院は治療家がいなければ稼ぐことができないため、人材の確保がとても重要になるのです。
整骨院のビジネスモデルについてはこちらでも詳しく解説しているので、まだ見ていない方は読んでみてください。
勤務先であなたが給料を上げる2つの方法

ここからは整骨院業界であなたが給料を上げる方法を紹介していきます。
他院に転職したり、自分で独立開業する方法もありますが、今回はあくまで勤務先の院内で給料を上げる方法を2つお伝えします。
1つ目は、役職を上げることです。
治療家数名+院長という小さな個人院もありますが、整骨院の中には十数名〜数十名の治療家が集まった中規模な院や100人以上の治療家がいる大規模なグループ院もあります。
中規模、大規模の整骨院では「院長」以外にも「マネージャー」や「管理職」などの役職があり、役職を上げることで給料がアップします。これがいわゆる「役職手当」というものです。
ただし、単に技術や経験があれば役職に上がれるというわけでもありません。
役職が上がれば仕事内容も変わり、上司から求められることも大きく変わります。
例えば、これまでは1人の治療家として目の前の患者さんの治療に専念するのが仕事でしたが、役職が上がると店舗全体の売上をどう上げれば良いか、売上アップのための施策を練ったり検証したりすることが仕事のメインとなることもあります。また、役職が上がって今より忙しくなることも多々あります。
これは完全に人によって好みが分かれます。これまで転職相談に乗ってきた治療家の中には「給料が月5万円上がるとしても、あんなに忙しくなるなら役職につきたくない」という若手治療家もいました。
2つ目は、圧倒的な売上を上げることです。
先ほども少しお伝えしたように、整骨院というビジネスは治療家がいないと稼げない仕組みになっています。あなたの院でも、治療家が1人いなくなれば治療の枠が減ってしまい、患者さんから治療代を受け取れなくなることはイメージできるでしょう。
このような仕組みの中で給料を上げたいのであれば、圧倒的に自分の売上を上げましょう。「あなたのお陰でこの整骨院の売上が増えている」と思ってもらえる程の売上です。目安は【給与の3倍】を稼ぐことです。
整骨院の運営にはあなたへの給料だけでなく、店舗の家賃や施術台などの備品、日々の消耗品なども必要であることを考えると【給与の4倍】稼いでも良いくらいです。
ここまで稼げるようになると、あなたは「整骨院にとって手放したくない存在」になります。ここまで出来ればあなたから給与交渉をすれば応えてくれる院は多いでしょうし、院で長く働いてもらえるように院から昇給の提案がある可能性もあるでしょう。
働く価値を広い意味で考えてみる

若手治療家の転職支援を行う私の会社「じんじあいであ」では、治療院全体を特徴別に4つのポジションに分けています。

各ポジションの特徴はこちらの記事を見ていただきたいのですが、給料条件や技術力はポジションごとに特徴があります。
左側のポジションA「優良治療院」とポジションC「THE 個人院」は、給与の条件はそこまで良くないですが、その代わりに技術を身につけられます。
一方で、給料の条件が良いのは右側のポジションB「THE グループ院」とポジションD「若手社長院」です。しかし、これらは治療をマニュアルで効率化しているので、ここで働いても技術はあまり習得できません。
それでは、右側が良い治療院で、左側は良くない治療院なのでしょうか?
私はそうでないと思っています。それは仕事の対価はお金だけではないと考えているからです。
働く意味は人によってそれぞれ異なります。もちろん生活のために、お金のために、働いている側面は誰にもあると思います。しかし、このような思いもありませんか?
- ・人に感謝される仕事にやりがいを感じる
- ・尊敬する院長のすぐ側で高い技術を身に付けられる
- ・目の前の患者さんの痛みや不調を解決してあげたい
あなたが「この職業を目指した理由」を思い出してみてほしいのです。
実は初任給が落とし穴だったりする

初任給は、誰もが比較しやすい数字で出てきます。
つまり、すごく分かりやすいのです。他院の給料とも比較しやすいし、治療家仲間の給料とも比較しやすい。でも、分かりやすいからこそ「落とし穴」にもなります。
本当の給料は、1日の勤務時間や月あたりの勤務日数(もしくは年間休日)が分かって初めて時給として算出できます。例えば、給料が月20万円だとしても「月22日出勤」と「月26日出勤」の職場では働き方やプライベートの過ごし方も大きく変わりますよね。
また、勤務先の治療院がどのようなタイプかによって、あなたの治療家人生は大きく変わります。募集要項や数字には出づらいですが、それぞれの治療院には信念やポリシーがあります。何を大切にして治療をしているのか、なぜ整骨院を運営しているのか、地域にとって患者にとってどんな整骨院を目指しているのかなど、目に見えない価値観の部分が自分の思いと合うかどうか?は、働く上でとても重要です。
初任給などの分かりやすい条件で選ぶ視点だけでなく、まずは自分の働く価値観を見直してみましょう。その上でいろんな求人を見て、候補に上がった治療院に見学に行き、ここで働きたいと思えるかどうか?を大切にして就職先・転職先を選んでみると良いと思います。
自分ってどんな治療家になりたかったんだっけ?という方は、ぜひ弊社がオリジナルで作成した若手治療家専用の適性検査を受けてみてください!
オンラインで無料で受けられて、最終的にはあなたに合うポジションA〜Dの診断が出てきます。自分の価値観を見直したいという方はぜひ試してみてください。

まとめ
「10年間給与が変わらない」というのは、転職を考える人によくある悩みです。
これには整骨院のビジネスモデルも関わっていますが、あなたに出来ることもまだあります。他責より自責。環境を変えることも大切ですが、まずはあなたに出来ることを探して行動することが大切です。
- ・勤務先で役職を上げる
- ・目安は給料の3倍!圧倒的な売上を上げる
それでも給料が上がらないなら、他院の給料を見て転職を決めるのではなく、あなたの中の働く価値観に向き合いましょう。それに合った環境(職場)を選べば、きっと充実した治療家人生を送れるはずです!
今回の内容はnoteの記事でも書いています!ぜひこちらも読んでみてくださいね!