整骨院のビジネスモデル。労働集約の話。
整骨院業界での就職・転職を考えるにあたり、整骨院のビジネスモデルを理解しておくことはとても大切です。
なぜなら、それはあなたの給料に直結しているから。
この記事をおすすめしたい人
- 現在の職場でミスマッチを感じている
- 一度は業界を離れたが、また戻るか悩んでいる
- 自分に合った整骨院を探したい
こんな人は、ぜひこの記事を最後まで読んでください。
この業界では「業界の本質を知り、ミスマッチのない会社に入社すること」がとて重要です。
これまで整骨院業界の求人だけを約15年間仕事にしてきた私は、誰よりもこの業界に精通しているという自信があります。
今回は、そんな私が整骨院の仕組みである「労働集約」について解説していきます。
整骨院は「労働集約型」のビジネス
労働集約とは、労働力への依存性が高いビジネスのことです。
髪をカット出来る人材がいて成り立つ美容院や、あなたの友人がバイトをしている接客業のカフェも同じ労働集約型です。
言い換えると、売上のために人手が必要なビジネスとも言えます。
治療院の場合、あなた自身が行った治療の売上は、整骨院全体の売上に直結します。
整骨院の売上は【単価×人数×頻度】で計算できます。
例えば、患者さん1人の単価が2000円だとします。
この整骨院には、100人の患者さんが、それぞれ月4回の頻度で来院します。
月の売上は、2000円×100人×月4回=月80万円です。
月の施術回数は合計400回になるので、営業日が月20日の場合、1日あたり20人施術する計算です。
ここで重要なのは、あなたの給料は「あなたが作った売上」から出ているということ。
この業界では給料の3倍の売上を作るべしと言われていて、給料25万円もらっている治療家がこの事例のように80万円の売上を作れていれば合格ラインと言えます。
労働集約型の整骨院では、売上を作る施術者が2人、3人、4人、5人と増えていくと、このように売上や利益が変化します。
もちろん売上すべてが利益になるわけではなく、このように様々な経費がかかるため、3倍稼ぐという目安があるのです。
整骨院業界の売上は減少傾向
実は近年、整骨院業界の売上は減少傾向にあります。
治療院における売上は「単価×人数×頻度」で算出でき、この3要素すべてが業界全体で右肩下がりという状況です。
これには以下の3つが関係しています。
整骨院業界の売上が減っている原因
- 単価の減少→療養費の削減
- 人数の減少→整骨院の数が25年で2倍増
- 頻度の減少→保険請求の厳格化
このような理由から、近年は自費診療で1回の施術単価をアップし、広告を使って新患の集客に力を入れ、施術頻度を増やすために回数券を販売するという整骨院が増えています。
これについては別の記事で詳しく解説しています。
整骨院で勤務経験がある人は、今の職場を客観的に分析できるようになるので、ぜひ転職で活かしてください。
整骨院の平均客単価は?【売上=単価×人数×頻度】【単価】の話。
加速する「整骨院離れ」の現状は?【売上=単価×人数×頻度】【人数】の話。
整骨院に患者が通う頻度は?【売上=単価×人数×頻度】【頻度】の話。
労働集約ビジネスの業界で、あなたの給料を上げる方法
そんな労働集客の整骨院業界であなたの給料を上げたいなら、まずは自分の売上を増やしましょう。
労働集約ビジネスでは、自分の給料は自分の売上からしか出ません。
給料の3倍稼ぐ気持ちで「どうすれば整骨院の売上が上がるか」を考えてください。
そのヒントが先ほど触れた「売上=単価×人数×頻度」です。
全体の売上が上がらないことには、あなたの給料も増えません。
逆に言えば、売上が下がれば、給料の減少や勤務時間の延長に繋がり、働く環境がもっと悪くなる可能性もあります。
加えて、社長をしっかり見ましょう。
整骨院は事業が拡大すればするほどトップが儲かる仕組みです。
中には私腹を肥やす(いや、肥やしまくる)タイプの社長も出てくるため、社長のタイプや利益が社員に還元されているか?を見極めることで、将来の給料も自ずと分かってきます。
そこで働くメリットを感じないなら、早めの転職を決断しましょう。
どんな整骨院で働きたいか
ここまで、整骨院のビジネスモデルと治療業界の傾向を見てきました。
「大変な業界に足を突っ込んでしまった」「未来がない業界だ」と思った方もいるかもしれません。
しかし、そんな治療院業界でも、良い給料をもらいながら理想の働き方をしている先輩もたくさんいます。
そんな働き方をするためにあなたに出来ることは、今からの就職・転職に、真剣に向き合うことです。
「業界の本質を知り、ミスマッチのない会社に入社する」
それだけであなたの治療家人生は激変します。
あなたはどんな整骨院で働きたいですか?
給料が高い、残業が少ない、休みが多い、待遇が良い。
確かにそれも重要です。これらの条件は最も比較しやすく、求人票にも明記されます。
しかし、それだけでなく「なぜあなたはこの業界を目指したのか」を思い出してみましょう。
今後あなたはどんな治療家になりたいですか?
給料はそこまで良くなくても、圧倒的に技術がある院長の元で5年働けば、他院で10年働いても得られない圧倒的な経験値が得られるはず。
ここで得られる「経験」「技術」「時間」は、あなたの治療家としての技術向上や独立の道を大きく後押ししてくれます。
また、勤務時間が長くても、自分が良いと思った技術をメニューに取り入れられる自由度が高い整骨院で働けば、自分の意思で治療ができます。
目の前の患者に対して、既存の施術に囚われず新しい技術をどんどん取り入れる姿勢は、あなたの未来はもちろん、整骨院の未来をも変える力があります。
あなたはどんな整骨院で、何を得ながら働きたいですか?
「今からの就職・転職に、真剣に向き合うこと」それは自分自身の価値観と向き合うことでもあります。
まずは、若手治療家向けの適性診断を受けてみませんか?
まとめ
今回は整骨院の仕組み「労働集約」について解説しました。
若手治療家にやってほしいことは「業界の本質を知り、ミスマッチのない会社に入社する」こと。
業界について知識を深め、それぞれの整骨院が持つ特徴を客観的に見ていきましょう。
弊社独自の視点で整骨院を4つに分類したポジショニングマップでは、整骨院のタイプや働き方の特徴を知ることができます。ぜひこちらもご覧ください。