治療家の働き方は、料理人と似ている!?「デニーズ」から学ぶ就職先の選び方

どのような整骨院・鍼灸院に就職するかは、今後のあなたの治療家人生を大きく左右します。
技術を磨きたい、安定して働きたい、将来独立したい、そんな想いがあったとしても就職先の環境によって身につくスキルや成長のスピードには大きな差が出るのが現実です。
これは、“料理人”で例えると理解しやすいはず。
もしあなたが料理人になりたいとして、ファミリーレストランの「デニーズ」で働くか、「個人経営のレストラン」で働くかでキャリアは大きく変わりますよね。
今回は、治療家の働き方を「料理人」に例えながら、治療家の就職先の違いがキャリアにどう影響するかを解説していきます。
1986年生まれ。千葉市出身。3児の父。 2018年(株)じんじあいであ設立。 整骨院業界に採用という角度から貢献するため、教育・運営・店舗展開なども他面的にサポート。 人材供給だけでなくフォローアップ、院運営のコンサルティングも行う
「デニーズ」で働く料理人=グループ院で働く治療家!?

まずは「デニーズ」のようなファミレスにあたるのが、大手のグループ院です。
デニーズは全国各地に店舗を出し、どの店舗でも同じメニュー・同じ味で提供することが求められます。
そのため、工場のあるセンターキッチンでソースを一括調理したり、食材をパッケージ化して管理したりと、企業側が“仕組み”として料理を再現できる体制を整えています。
これは治療院業界のグループ院にも共通する特徴です。
本部が用意したマニュアルや教育プログラムに沿って、誰が施術しても一定のクオリティを提供できるような環境をつくりあげています。
このような「サービスの仕組み化」によって、新卒でも安心して働き始めることができ、短期間で現場に出て活躍できるようになるのが大きなメリットです。
社会人としての基礎、接遇、マナー、さらには患者対応なども含めて一括して学べます。
一方で、個々の治療家としての技術の追求という観点では、やや物足りなさを感じることもあるかもしれません。
なぜなら、提供する施術はある程度“型”が決まっており、自由な発想や独自の治療を試すことは難しいからです。
料理で言えば、素材を一から仕入れて自分の味を追求するのではなく、決められた材料と工程に従って料理を仕上げるイメージに近いでしょう。
「言われた通りにできる人材」になるには最適な環境ですが、「自分で考えて試行錯誤する治療家になりたい」と思う人は挑戦しづらい・融通が効かないと感じることもあります。
グループ院はあくまで“治療家の成長”ではなく“サービスの均質化”が主軸となっているのです。
「個人レストラン」で働く料理人=個人院で働く治療家!?

一方で、個人院に就職するというのは、まさに「個人レストランで修行する料理人」のようなものです。
個人レストランでは料理長のこだわりがそのままメニューに反映され、日々の業務にも独自の考え方や工夫が詰まっています。
食材の目利きから仕込み、調理、盛り付け、接客まで、すべてが“生きた現場”で学べるのが個人店の魅力です。
治療院も同様に、個人院では院長の治療スタイルや考え方に直接触れることができ、現場で培われた本物の技術を間近で学べるチャンスがあります。
型にはまらない治療や、患者との深い関係性、判断力など、マニュアルには書かれていない力が養われるのが個人院の醍醐味です。
ただし、ここには大きな“リスク”も存在します。
個人院は教育制度が整っていないことも多く、指導が属人的になりがちです。
院長が教育熱心な人であれば学べることも多いですが、「見て覚えろ」「忙しいから後にして」と言われてしまうような職場では、何も得られないまま時間だけが過ぎていくこともあります。
また、院によっては患者対応や雑務など常に忙しい院もあるので、教える余裕そのものがないというケースも。
言い換えれば、個人院は“当たり外れ”が大きい世界です。
最高の学びが得られる現場もあれば、何も教わらずに消耗するだけの職場も。
条件を見るだけでなく、見学に行ったり治療体験をしたり院長や先輩と話してみたり、就職を決める前に「この院で自分は成長できるか」をよくみて考えましょう。
技術を学べるかは「環境×行動」で決まる

ここまで、「グループ院=デニーズ」「個人院=個人レストラン」という例えで、就職先ごとの特徴を紹介してきました。
重要なのは、「どちらが正解か?」ではなく「自分に合う職場はどちらか」という視点です。
たとえば、グループ院であれば型通りの技術を素早く習得できる反面で与えられる学びが中心になりがちです。
受け身でもある程度は成長できますが、「言われたことしかできない人材」になってしまうリスクもあります。
一方の個人院では、自ら学ぶ姿勢がなければ何も得られません。
「教えてくれないから辞めたい」となる前に、自分から「教えてください」「見学させてください」と動けるかどうかが成長の分かれ道になります。
これは料理人の世界とまったく同じです。
同じ厨房で働いていても、自分から食材の扱いを見たり、空いた時間に質問したり、レシピの意図を考える料理人ほど、圧倒的に成長が早いのです。
つまり、「どこで働くか」×「どう動くか」=身につく技術の質と量。
就職先はあくまで土台であり、あなたの行動次第で学びや技術も大きく変わるのです。
将来どんな“治療家”になりたいかを考えよう

就職先の院を選ぶときは、ぜひ「自分はどんな治療家になりたいのか?」を考えてみてください。
この答えによって選ぶべき就職先は変わります。
もし以下のような目標があるなら、個人院との相性が良いと言えます。
個人院への就職が向いている人
- いずれ自分の治療院を持ちたい
- 他の治療家にはできない“自分だけの技術”を磨きたい
- 一人ひとりの患者と深く関わる仕事がしたい
大変なことも多いですが、現場での応用力や判断力、自分で考える力は個人院のほうが圧倒的に身につきやすいからです。
一方で以下のような人は、グループ院の整った教育体制が合っているはずです。
グループ院への就職が向いている人
- 安定した環境で、無理なく経験を積みたい
- 接遇やマナー、社会人としての基本から丁寧に学びたい
- 成長のペースを焦らず、安心してスタートしたい
決められたマニュアルの中で学び、段階的にスキルアップしていける安心感があります。
大切なのは「何となく」で決めないこと。
就職はゴールではなく“治療家としてのキャリアの始まり”です。
どの環境が自分の未来に繋がっているのか、しっかり考えて選んでほしいと思います。
まとめ:就職はゴールではなくキャリアのスタート

治療家のキャリアは、まさに料理人と同じです。
仕組みが整った「デニーズ」のようなグループ院で働くことは、安定して、効率よく、社会人としての基礎を身につけるには最適な道。
一方で、感性や技術で勝負する「個人レストラン」のような個人院では、自分にしかできない技術や現場対応力が問われ、やる気次第でどこまでも成長できる環境があります。
どちらも正解であり、どちらも不正解になり得ます。
大切なのは「どんな治療家になりたいか」を明確に持ち、「そのために最適な環境を選ぶ」こと。
自分にどっちがあっているか不安な人は、ぜひ治療家専門の職場適性検査を受けてみてください!
たった5分で自分の価値観に最適な治療院タイプが分かります。